当社は、2024年12月24日に、第9回定時株主総会を開催いたしました。
本総会の目的事項である報告事項についてはご出席された株主の皆様に滞りなくご報告し、決議事項については4議案とも原案どおりご承認いただきました。 事前に議決権行使書をお送りいただいた株主様を含め、心より御礼申し上げます。株主の皆様には、別途決議ご通知をお送りいたします。
<決議事項>
第1号議案 剰余金処分の件 : 1株につき8円00銭にて承認可決されました。
第2号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件:武川義浩、木下洋、三橋茂の3名が選任されました。
第3号議案 監査等委員である取締役3名選任の件:永谷孝俊、望月篤、藤江勇佑の3名が選任されました。
第4号議案 補欠の監査等委員である取締役1名選任の件 :塚本浩二が選任されました。
株主様からは、事前にご質問をお寄せいただいたほか、当日ご出席の株主様からもご質問やご意見をいただき、下記のとおり回答申し上げました。なお、内容につきましては、ご理解いただきやすいよう項目ごとに集約のうえ加筆・修正しております。
<いただいた質問事項への回答>
Q1:東北大学との共同研究の状況について教えてほしい。
A1:東北大学CIES等との共同研究の内容は、スピントロニクス技術を用いた次世代メモリの性能を十分に発揮させるためのアルゴリズムやソフトウエア技術に関する共同研究です。これまでに、当社が担当するソフトウエア研究開発の領域はすべて完了し、本年9月までに共同研究の契約期間も無事終了しました。当社にとって大変貴重な知見を得ることが出来、研究としては大成功であったと認識しています。今後は、その知見を活かすための次世代メモリの実用化・量産化を待つばかりです。当社としても将来的な収益の柱の一つになるものとして期待し心待ちにしています。なお、東北大学CIESとは、引き続き良好な関係を保っており、次のテーマの研究開発についての協議に向けて取り組んでまいります。
Q2: 先般公表された事業計画及び成長可能性に関する事項の内容を踏まえ、ここ最近の複数の子会社設立、M&A、業務提携についての目的と進捗状況、そして10年後の長期目標に向けた取り組みについて教えてほしい。
A2:10年先には売上高100億円、時価総額300億円の企業グループになることを長期目標として掲げています。年率10%の人員増や継続的な単価アップ、M&Aの効果などを織り込んだ実現可能性の高い目標です。最重要課題は技術者の増員です。今年の新卒採用数が過去最多となるなど、採用戦略を見直した結果が表れているほか、離職率も業界平均を下回る水準を維持しています。
子会社の設立については、2024年6月にTSシステムソリューションズを設立しました。ソフトウエア開発の提供に加え、即戦力のエンジニアリソース拡充をミッションとして掲げ、技術者の募集、採用、教育を通じて、当社グループ内の人材活用を推進する目的で設立し、前期後半から今期に向け、優秀なエンジニアを増員し、売上及び利益の拡大を図っています。また、2024年11月にはイントフォー株式会社を設立しました。ティアンドエス株式会社の先進技術事業本部の分社化となります。事業内容、技術、従業員の特性などが他と異なるため、仕組みを分ける効果は高いと考えており、設立の目的は以下の3つとなります。
①柔軟なAIビジネス/サービスの提案
②優秀なAIエンジニアの獲得
③ソフトウエアの受託開発にとらわれない多様なビジネスモデルの構築
現在、必要な許認可取得を進めており、その後、2025年中に事業を移管予定です。
最後に、M&Aや業務提携に関しては、当社の企業価値向上のためのひとつの方策として重要なものであると認識しています。今回のエクステージ社の件は、採用の難しい中途の優秀なエンジニア層を当社に迎え入れることを可能とするものです。エクステージ社はすでにティアンドエス株式会社の半導体領域の開発業務のビジネスパートナーとしての取引があり、信頼できるパートナーです。現在は、株式取得に向けた基本合意書を締結し、最終的な株式取得に向けたデューディリジェンスを行っているところです。規模や取得金額等については交渉中のため未公表ですが、株式取得が正式に決まり次第、速やかに開示しお知らせいたします。
Q3:JAXAとの共同研究について教えてほしい。
A3: JAXA宇宙探査イノベーションハブでは、2024年度より国際宇宙探査シナリオに基づく月面/火星探査を段階的に実現するためのシステム/要素技術に関して、研究課題を設定して共同研究を実施するという新しい研究制度が行われています。ティアンドエス株式会社はその第12回研究提案募集(RFP12)に応募し、採択が決定しました。今月に向こう2年間の契約も締結され、すでに研究作業をスタートさせています。RFP12では、システム型課題として2テーマ、ゲームチェンジ型課題として4テーマが設定されましたが、ティアンドエス株式会社ではゲームチェンジ型課題の 「【次世代モビリティ領域】 月面/火星探査ローバーや深宇宙探査機での高精度・低消費電力・リアルタイムな自己位置推定技術」 を選択しています。ティアンドエス株式会社がこれまでに培ってきたエッジAI分野での画像認識技術とプログラム実装/最適化技術を組み合わせた研究内容となっています。当社グループとしては、今回の共同研究を通じてエッジAI技術力のさらなる向上だけでなく、将来的に宇宙適用を睨んだ研究開発に対しても積極的に取り組んでいく予定です。
Q4:株価を意識した経営を行っているのですか。株価が低迷していることへの対策、IR活動の方針についての考えてを教えてほしい。
A4:まず、私自身大株主の一人として、株価の動きについては重大な関心を持っています。
前期については、当社の業績はおおむね順調に推移したものの、主要取引先の業績が思わしくなかったことや、決算期変更に伴い10カ月の変則決算となったことで見かけ上とはいえ売上及び利益の数値が落ちたこと、さらに当社が上場しているグロース市場が、円安や物価高、ウクライナ紛争等による影響で市場全体の低迷からなかなか抜け出せない状況であることが相まって、株価が下がったものと分析しています。株価は市場の需給のバランス等様々な要因により形成されるものとはいえ、現在のPER約30倍、PBR5倍強という水準は決して極端な低評価だとは考えられないので、当社としては、まずはきちっとした業績を上げることで企業価値を上げる、これが最大の責務だと思っています。そのうえで、当社の情報を正しくお伝えするためのIR活動や、株式の流動化を促進するための資本政策を行っていきたい。IR活動については、実態の伴わない脚色された大風呂敷を広げるようなPRにならないよう心掛けています。目先の操作ではない、中長期的にしっかりとした株価形成を促していくこと、これが株主の皆様へ果たすべきことであると考えています。どうか、業績や将来性といった当社の本来の企業価値に注目していただき、中長期的な視点をもって見守っていただければありがたく思います。
ご質問いただきましてありがとうございました。
2024年12月24日
ティアンドエスグループ株式会社
代表取締役執行役員社長
武川 義浩